障害者・障碍者・障がい者の表記揺れに対するガイドライン
これは世間一般で「どの用語を使うべきか?」という論点ではなく、現時点のこのサイト上の文章で、どのような意図を持って用語を統一しているか、という見解を示したものです
このサイト上では身体、精神、発達のある部分において、何らかの恒常的な状態異常のことを障害と表記しています。また、障害を抱えている人達のことを障碍者と表記しています。(以下その表記で統一しています)
障害者と呼ばれている人達の呼称を変更するべきかどうかという議論は、かなり前から社会的に行われていますが、現在も公的文書から日常会話まで、障害、障碍、障がい、チャレンジドなどの呼び名が入り交じっています。
議論の過程においては様々な分野から、いくつかの経緯や論点があります。
1.障碍者本人や周囲の人に「障害」表記で不快な思いをする人がいる
2.「障がい」という表記は交ぜ書きであり国語的に間違っている
3.障害者という言葉からネガティブな印象を与え社会理解が進まない
4.元々は「障碍者」の表記が一般的だった
5.当用漢字に障碍の「碍」の字が含まれていない
6.害は「そこなう」碍は「さまたげる」で本来の意味が違う
7.更に障碍は障礙の略字である
言葉狩りという意見もありますが、現状で不快な思いをする方がいるのであれば、そして変更が可能であれば、表記を変えることも考えるべきでしょう。言葉も時代や情勢によって変化し、意味や用法も変わってくるものだからです。
ですが、安易な変更や解決にならない変更、悪い方向への変更であれば意味がありません。何かを変えた方がいいのであれば、何処を変えればいいのでしょうか?
ここで注意していただきたいのは、当サイトでは「障害」「障碍者」の表記を使っている点です。これは一般の表記とは違い、統一されていないチグハグなものに見えるかもしれません。
しかし元々の漢字の意味と障害と障碍者の関係を見ていただければ、納得いただける部分もあるのではないでしょうか?
「障害がある、ない」という場合の障害と障碍は(厳密に言えば違いますが)現在の日本語の意味としてはほとんど同じです。これは人間以外でも、機械の障害や一般的な現象としての障害と共通の視点です。(注1)ですので一般的な表記の障害で置き換えているわけです。
ただ障害者と障碍者であれば意味が違ってきます。障碍者本人は「何かをそこなっている」のではなく「さまたげられて」いることが多いわけです。「障害者」と「障害のある人」は意味が少し違うわけです。
福祉や教育の分野では、「器質的、機能的な障害が起こる(Impairment)」→「能力的な障害を伴う(Disability)」→「社会的不利益を被る(Handicap)」という流れを重要視しています。(逆の流れが起こる場合もあります)
日本語では単に障害の一言で済ませていることが、本当は複数の階層に分かれた別々の概念に分かれていることが、この呼称問題を複雑にしているのかもしれません。
繰り返しますが、以上の内容は単に「このサイトではどのように表記するか」ということに関してのお話です。社会的な表記に関しては、誰もがきちんとした理解を深めた上で、自分の判断で言葉を選び取ることが重要だと考えています。
注1
障害を単に悪いものではなく、個性の一部として認めて付き合っていこう、という概念があることを紹介しておきます。これは簡単なことではありませんが、障碍者本人と家族や周囲の人達の人生を照らす重要な概念です。
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